税理士試験法人税法受験生のブログ

法人税法、質疑応答事例等のまとめをしてます。

法人税法 質疑応答事例【その他損益】【清算結了する場合におけるグループ法人税制で繰り延べた譲渡損益の取扱いについて】

【結論】当社(3月決算法人)は、清算中の内国法人であり、×1年2月1日に保有していた譲渡損益調整資産に該当する土地及び建物を完全支配関係のあるA社に譲渡しましたが、その譲渡により生じた譲渡損益(土地については譲渡損失額、建物については譲渡利益額。)を繰り延べ、×3年3月10日に残余財産の確定をした後、×3年3月20日に残余財産の分配及び清算結了をする場合について。


この繰り延べた譲渡利益額又は譲渡損失額については、譲渡法人が譲渡損益調整資産の譲受法人との間に「完全支配関係を有しないこととなったとき」を残余財産の確定の日の翌日(×3年3月11日)とし、その繰り延べた譲渡利益額又は譲渡損失額を当社の最後事業年度(×2年4月1日〜×3年3月11日)に益金の額又は損金の額に算入。


【参考】

清算中の法人の残余財産が事業年度の中途において確定した場合には、当該事業年度開始の日から残余財産の確定の日までが事業年度(以下「最後事業年度」といいます。)となりますが(法141五)、清算中の法人において、この「完全支配関係を有しないこととなつたとき」を残余財産の分配が行われた日と解した場合には、当該残余財産の分配が行われた日は当該清算中の法人の最後事業年度が終了した後の日であるため、当該譲渡利益額又は譲渡損失額を精算する機会が永久に失われることとなり不合理であると考えられます。

 したがって、「完全支配関係を有しないこととなつたとき」を残余財産の確定の日の翌日と解することで、繰り延べた譲渡利益額又は譲渡損失額を貴社の最後事業年度に精算することが相当であると考えられます。



【照会要旨】

 当社(3月決算法人)は、清算中の内国法人であり、×3年3月10日に残余財産の確定をした後、×3年3月20日に残余財産の分配及び清算結了をする予定です。

 当社は、×1年2月1日に、保有していた譲渡損益調整資産に該当する土地及び建物をA社に譲渡しましたが、当社とA社との間には法人税法第2条第12号の7の6に規定する完全支配関係があることから、その譲渡により生じた譲渡損益(土地については譲渡損失額、建物については譲渡利益額。)を繰り延べています。

 このような場合、当社の残余財産の分配及び清算結了を行う日(×3年3月20日)の属する事業年度は存在しないため、当社は、当該残余財産の確定の日の翌日(×3年3月11日)にA社との間における完全支配関係を有しなくなったものとして、×3年3月11日の前日である×3年3月10日の属する事業年度の所得金額の計算において、その繰り延べた譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する額を益金の額又は損金の額に算入することとなりますか。


【回答要旨】

 照会意見のとおりとなります。


(理由)


 内国法人が譲渡損益調整資産を当該内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人に譲渡した場合(以下、その譲渡をした内国法人を「譲渡法人」といいます。)には、当該譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額はその譲渡した事業年度の損金の額又は益金の額に算入することとされています(法61の111)。

 この繰り延べた譲渡利益額又は譲渡損失額については、譲渡法人が譲渡損益調整資産の譲受法人との間に「完全支配関係を有しないこととなつたとき」は、当該譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額を譲渡法人の当該完全支配関係を有しないこととなった日の前日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入することとされています(法61の113)。

 ところで、清算中の法人の残余財産が事業年度の中途において確定した場合には、当該事業年度開始の日から残余財産の確定の日までが事業年度(以下「最後事業年度」といいます。)となりますが(法141五)、清算中の法人において、この「完全支配関係を有しないこととなつたとき」を残余財産の分配が行われた日と解した場合には、当該残余財産の分配が行われた日は当該清算中の法人の最後事業年度が終了した後の日であるため、当該譲渡利益額又は譲渡損失額を精算する機会が永久に失われることとなり不合理であると考えられます。

 したがって、「完全支配関係を有しないこととなつたとき」を残余財産の確定の日の翌日と解することで、繰り延べた譲渡利益額又は譲渡損失額を貴社の最後事業年度に精算することが相当であると考えられます。


国税庁ホームページ質疑応答事例法人税

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/04/17.htm

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