税理士試験法人税法受験生のブログ

法人税法、質疑応答事例等のまとめをしてます。

法人税法 質疑応答事例【収益】【ゴルフ会員権の販売に伴い受領する入会金の収益計上時期】

【結論】当社は企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」に基づき、ゴルフ会員入会金について会員にビジターと比較して低廉な料金でゴルフ場を利用させるという将来の役務に対する対価として、会員権の平均的な存続期間にわたり収益を認識することとしていますが、法人税法上も同様に取り扱って差し支えありませんか?

※本件会員権の資格に有効期限の定めはありません。また、所定の手続を経て譲渡及び相続が可能であり、その存続期間は半永久的なものです


【回答】

本件入会金は、その有効期限の定めがなく、存続期間も半永久的とのことですので、契約の特定期間における役務の提供ごとにそれと具体的な対応関係をもって発生するものとは認められません。

そのため法人税法上、収益認識基準と同様には取り扱われず、取引開始の日、すなわち会員契約締結日の属する事業年度において、入会金は一括して益金の額に算入することとなります。



ただし、返金が不要な支払を受ける場合であっても、契約の特定期間における役務の提供ごとに、それと具体的な対応関係をもって発生する対価の前受けと認められる場合において、その支払を当該役務の提供の対価として、継続して当該特定期間の経過に応じてその収益の額を益金の額に算入しているときは、これを認めることとされています。




【参考】

 以上を踏まえると、返金が不要な支払を受ける場合には、それが収益認識基準において将来の財又はサービスの提供時に収益を認識すべきとされるものであっても、法人税法上は、契約の特定期間における役務の提供ごとにそれと具体的な対応関係をもって発生する対価の前受けと認められない限り、その取引の開始の日の属する事業年度の益金の額に算入することとなります。

本件入会金は、その有効期限の定めがなく、存続期間も半永久的とのことですので、契約の特定期間における役務の提供ごとにそれと具体的な対応関係をもって発生するものとは認められません。


(注)(本件会員権の内容)


1 本件クラブの入会希望者は、当社に対し所定の「入会申込書」を提出し、理事会の審査承認を受け本件入会金を納入し、会員契約を締結することにより会員資格を取得します。


2 本件会員権の資格に有効期限の定めはありません。また、所定の手続を経て譲渡及び相続が可能であり、その存続期間は半永久的なものです。


3 入会希望者から受領した本件入会金は、いかなる理由があっても返還しません。


4 会員は、本件クラブの休業日を除く全ての日の開場時間内に優先的にゴルフ場を利用することができ、非会員と比べ低廉な料金でプレーすることが可能であるほか、本件クラブが発行する機関誌の配付を受けるなどの権利を有することとなります。


【照会要旨】

 当社は、Aカントリークラブという名称のゴルフ場(以下「本件クラブ」といいます。)を運営している法人で、今般、プレー権のみを内容とする新たなゴルフ会員権(以下「本件会員権」といいます。)を発行し、一口150万円の入会金(以下「本件入会金」といいます。)で販売することを予定しております。

 当社は、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下「収益認識基準」といいます。)に基づき、本件入会金については、会員にビジターと比較して低廉な料金でゴルフ場を利用させるという将来の役務に対する対価として、会員権の平均的な存続期間にわたり収益を認識することとしていますが、法人税法上も同様に取り扱って差し支えありませんか。

 また、本件会員権の権利の内容は要旨次のとおりです。


(本件会員権の内容)


1 本件クラブの入会希望者は、当社に対し所定の「入会申込書」を提出し、理事会の審査承認を受け本件入会金を納入し、会員契約を締結することにより会員資格を取得します。


2 本件会員権の資格に有効期限の定めはありません。また、所定の手続を経て譲渡及び相続が可能であり、その存続期間は半永久的なものです。


3 入会希望者から受領した本件入会金は、いかなる理由があっても返還しません。


4 会員は、本件クラブの休業日を除く全ての日の開場時間内に優先的にゴルフ場を利用することができ、非会員と比べ低廉な料金でプレーすることが可能であるほか、本件クラブが発行する機関誌の配付を受けるなどの権利を有することとなります。


【回答要旨】

 本件会員権の販売に係る収益の額は、法人税法上、収益認識基準と同様には取り扱われず、取引開始の日、すなわち会員契約締結日の属する事業年度において一括して益金の額に算入することとなります。


(理由)

 法人が返金不要の支払を受ける場合には、その支払が約束した財又はサービスの移転を生じさせるものか、あるいは将来の財又はサービスの移転に対するものかどうかを判断し、約束した財又はサービスの移転を生じさせるものでない場合には、将来の財又はサービスを提供する時に収益を認識することとされています(企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」57、58)。

 一方、法人税においては、法人が、内国法人の資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供(以下「資産の販売等」といいます。)に係る収益の額は、別段の定めがあるものを除き、その資産の販売等に係る目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入することとされており(法法22の21)、資産の販売等に係る取引を開始するに際して、相手方から中途解約のいかんにかかわらず取引の開始当初から返金が不要な支払を受ける場合には、原則として取引開始の日の属する事業年度の益金の額に算入することとされています(法基通2-1-40の2)。これは、対価の支払が施設利用などの権利を主とする契約上の地位を付与することに基づくものであるならば、税務上は、こうした契約上の地位の設定を一の取引の単位として、当該地位設定の日の属する事業年度に収益計上するという考え方によるものです。

 ただし、返金が不要な支払を受ける場合であっても、契約の特定期間における役務の提供ごとに、それと具体的な対応関係をもって発生する対価の前受けと認められる場合において、その支払を当該役務の提供の対価として、継続して当該特定期間の経過に応じてその収益の額を益金の額に算入しているときは、これを認めることとされています。

 以上を踏まえると、返金が不要な支払を受ける場合には、それが収益認識基準において将来の財又はサービスの提供時に収益を認識すべきとされるものであっても、法人税法上は、契約の特定期間における役務の提供ごとにそれと具体的な対応関係をもって発生する対価の前受けと認められない限り、その取引の開始の日の属する事業年度の益金の額に算入することとなります。

 本件入会金は、その有効期限の定めがなく、存続期間も半永久的とのことですので、契約の特定期間における役務の提供ごとにそれと具体的な対応関係をもって発生するものとは認められません。

 そうすると、上記のとおり、本件入会金が収益認識基準において将来の役務提供時に収益を認識すべきとされるものであっても、法人税法上はその取引の開始の日の属する事業年度の益金の額に算入することとなります。

 したがって、本件会員権の販売に係る収益の額は、その取引開始日である会員契約締結日の属する事業年度において一括して益金の額に算入することとなります。


国税庁ホームページ質疑応答事例法人税

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/01/07.htm

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