税理士試験法人税法受験生のブログ

法人税法、質疑応答事例等のまとめをしてます。

法人税法 質疑応答事例【試験研究費の額に含まれる人件費の額の範囲 】

【結論】建設工事現場等における試験研究が建設工事の施工とは明確に区分される試験研究で、研究所における実験等が物理的に困難であることから研究所機能を代替するものとして建設工事現場等を活用し、現地において専門的知識をもった技術者が相当期間にわたり試験研究業務に従事する場合の人件費は試験研究費の額に含める事が出来る。


なお、現地における試験研究に技術者が専ら従事していることについては、調査報告書や勤務報告書等により確認できるように整理しておく必要があります。


【照会要旨】

 建設業は原則的に受注による現場一品生産であり、また、土木構造物、建築物等は一般の製造物に比して著しく規模が大きいこと等もあって、新技術の完成のためには現地における実証試験等が必要かつ重要であり、研究所における試験研究に加え、建設工事現場等における試験研究が数多く行われています。

 ところで、このような現地における試験研究について、当該試験研究の目的及び内容、並びにこれに従事する技術者の執務形態等によっては、研究所における試験研究と同等のものとして取り扱われ、当該試験研究を行うために要する人件費の額を租税特別措置法第42条の4((試験研究を行った場合の法人税額の特別控除))第19項第1号に定める試験研究費の額に含めることができる場合があるのでしょうか。

 具体的には、建設工事の施工とは明確に区分される試験研究で、研究所における実験等が物理的に困難であることから研究所機能を代替するものとして建設工事現場等を活用し、現地において専門的知識をもった技術者が相当期間にわたり試験研究業務に専ら従事する場合には、それに要する人件費の額は一般的に試験研究費の額に含めることができると解して差し支えありませんか。


【回答要旨】

 照会に係る試験研究に専ら従事する技術者の人件費の額については、試験研究費の額に含めて差し支えありません。

 なお、現地における試験研究に技術者が専ら従事していることについては、調査報告書や勤務報告書等により確認できるように整理しておく必要があります。


(理由)

 試験研究の目的及び内容、並びにこれに従事する技術者の執務形態等によっては、当該試験研究を行うために要する人件費の額を試験研究費の額に含めることができる場合があり、照会の事例のように、建設工事の施工とは明確に区分される試験研究で、研究所における実験等が物理的に困難であることから研究所機能を代替するものとして建設工事現場等を活用し、現地において専門的知識をもった技術者が相当期間にわたり試験研究業務に従事する場合には、一般的にそれに当たると考えられます。

 その際、現場技術者が試験研究に専ら従事していることについては、調査報告書や勤務報告書等により確認できるように整理しておく必要があります。


国税庁ホームページ質疑応答事例法人税

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/06/05.htm

法人税法 質疑応答事例【租税条約に定める限度税率を超える外国法人税の額の取扱い】

【結論】日本と租税条約を締結しているA国の法人から受けた使用料に係る源泉徴収(税率25%)は一旦、A国に納付し、一定の手続きを経て日本との条約により締結された限度税率10%を超えた部分がA国により還付される方式であり、当期においてまだ還付がされていない場合。


【回答】

この場合の外国税額控除の適用については、源泉徴収された外国法人税の額のうち限度税率超過部分の金額については、外国税額控除の対象とならず、使用料の支払日の属する事業年度の損金の額に算入されます。


なお、A国との限度税率(10%)部分は通常通りの外国税額控除の適用がされ、限度税率超過部分について、その全部又は一部が還付された場合には、その還付されることとなった日の属する事業年度の益金の額に算入されます。





【照会要旨】

当社は、我が国が租税条約を締結しているA国の法人から使用料の支払を受けました。

 A国の国内法では使用料の支払に係る源泉徴収税率は25%とされていますが、我が国とA国との租税条約では使用料の支払に係る限度税率は10%とされています。

 ところが、A国では、一旦、自国の国内法の税率により源泉徴収をしておいて、その後一定の手続を経た上で限度税率超過部分を還付する方式を採っているため、当社がA国の法人から使用料の支払を受けた際には25%の税率により源泉徴収されました。そこで、当社は、A国の税務当局に対して一定の手続を行うことにより、限度税率超過部分の還付を請求していますが、現時点ではまだ還付されておりません。

 このような場合に、租税条約に定める限度税率10%を超えて源泉徴収された外国法人税の額は、どのように取り扱われるのでしょうか。

 なお、当社は、当期において納付することとなる外国法人税の額について外国税額控除の適用を受けることを照会の前提とします。


【回答要旨】

源泉徴収された外国法人税の額のうち限度税率超過部分の金額については、外国税額控除の対象とならず、使用料の支払日の属する事業年度の損金の額に算入されます。


(理由)


我が国が租税条約を締結している条約相手国等において課される外国法人税の額のうち、当該租税条約の規定により当該条約相手国等において課することができることとされる額を超える部分(限度税率超過部分)に相当する金額又は免除することとされる額に相当する金額は、法人税法第69条第1項に規定する控除対象外国法人税の額には含まれません(法法69まる1、法令142の2まる8五)。

 そのため、限度税率超過部分は、法人税法第41条(法人税額から控除する外国税額の損金不算入)の規定により損金不算入とされることはなく、使用料の支払日の属する事業年度の損金の額に算入されます(法法22まる3二)。

 なお、限度税率超過部分について、その全部又は一部が還付された場合には、その還付されることとなった日の属する事業年度の益金の額に算入されます。


国税庁ホームページ質疑応答事例法人税


https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/23/09.htm

法人税法 質疑応答事例【外国税額控除における国外所得金額の範囲】

【結論】国外事業所等を有しない内国法人が、外国法人又は非居住者に裸用船契約により船舶を賃貸して用船料を収受している場合は、法人税法第69条第4項第5号 〘所得税法第二条第一項第五号(定義) に規定する非居住者若しくは外国法人 に対する船舶若しくは航空機の貸付けによる対価〙 に該当する為、外国税額控除の計算上、用船料に係る所得は国外所得金額に含まれます。



※仮に国外事業所等を有し、国外事業所等が内国法人から独立して事業を行う事業者であるとしたならば、その国外事業所等が果たす機能、その国外事業所等を内国法人の本店等との間の内部取引その他の状況を勘案して、国外事業所等に帰せられるべき所得については、法人税法第69条第4項第1号に規定する国外源泉所得に該当することとなり、5号と1号のいずれにも該当する場合には1号が優先される。





【照会要旨】

 国外事業所等※を有しない海運会社(内国法人)が、外国法人又は非居住者に裸用船契約により船舶を賃貸して用船料を収受している場合、外国税額控除の適用上、当該用船料に係る所得は国外所得金額に含まれますか。

 なお、国外事業所等を有するかどうかで取扱いが異なりますか。


※ 国外事業所等とは、我が国が租税条約(恒久的施設に相当するものに関する定めを有するものに限ります。)を締結している条約相手国等(租税条約の我が国以外の締約国又は締約者をいいます。以下同じです。)についてはその租税条約の条約相手国等内にあるその租税条約に定める恒久的施設に相当するものをいい、その他の国又は地域についてはその国又は地域にある恒久的施設に相当するものをいいます(法法694一、法令145の21)。


【回答要旨】

1  非居住者又は外国法人に対する裸用船契約に基づく用船料は、法人税法第69条第4項第5号«外国税額の控除»に規定する国外源泉所得に該当するため、その用船料に係る所得の金額は国外所得金額に含まれることとなります(法法691、4、法令141の2)。

 なお、お尋ねでは、国外事業所等を有しないとのことですが、同号に該当するか否かは、国外事業所等の有無にかかわりませんので、国外事業所等を有しない場合であっても、国外源泉所得に該当することとなります。

2  仮に、国外事業所等を有する場合で、その国外事業所等を通じて非居住者又は外国法人に対する裸用船契約に基づく船舶貸付業を行う場合には、その国外事業所等が内国法人から独立して事業を行う事業者であるとしたならば、その国外事業所等が果たす機能、その国外事業所等において使用する資産、その国外事業所等を内国法人の本店等との間の内部取引その他の状況を勘案して、その国外事業所等に帰せられるべき所得については、法人税法第69条第4項第1号に規定する国外源泉所得に該当することとなります。

 この場合、非居住者又は外国法人に対する裸用船契約に基づく用船料は、法人税法第69条第4項第1号及び第5号のいずれの国外源泉所得にも該当することとなりますが、このような場合には、外国税額控除に係る控除限度額の計算の基礎となる国外所得金額の計算においては、同項第1号の国外源泉所得への該当性が優先されることとなります(法令141の2)。



国税庁ホームページ質疑応答事例法人税

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/23/05.htm