税理士試験法人税法受験生のブログ

法人税法、質疑応答事例等のまとめをしてます。

法人税法 質疑応答事例【棚卸資産】【申告期限の延長の承認を受けている場合の棚卸資産の評価方法の届出期限】

【結論】法人税法第75条の2((確定申告書の提出期限の延長の特例))の規定により、確定申告書の提出期限を1月延長する承認を受けている法人が、棚卸資産の評価方法に関する届出をする場合について。


その延長された確定申告書の提出期限が棚卸資産の評価方法の届出期限となります。


(注) 減価償却資産の償却方法の届出、欠損金の繰戻しによる還付請求等における確定申告書の提出期限も、同様にその延長された期限ということになります。




【照会要旨】

 法人税法第75条の2((確定申告書の提出期限の延長の特例))の規定により、確定申告書の提出期限を1月延長する承認を受けている法人が、棚卸資産の評価方法に関する届出をする場合には、その届出期限はいつになるのでしょうか。


【回答要旨】

 法人が、確定申告書の提出期限について法人税法第75条の2の規定により延長の承認を受けている場合には、法人税法施行令第29条第2項((棚卸資産の評価の方法の選定))に規定する「……法第74条第1項((確定申告))の規定による申告書の提出期限……」は、その延長された期限となります。


(注) 減価償却資産の償却方法の届出、欠損金の繰戻しによる還付請求等における確定申告書の提出期限も、同様にその延長された期限ということになります。


国税庁ホームページ質疑応答事例法人税

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/03/01.htm

法人税法 質疑応答事例【その他損益】【清算結了する場合におけるグループ法人税制で繰り延べた譲渡損益の取扱いについて】

【結論】当社(3月決算法人)は、清算中の内国法人であり、×1年2月1日に保有していた譲渡損益調整資産に該当する土地及び建物を完全支配関係のあるA社に譲渡しましたが、その譲渡により生じた譲渡損益(土地については譲渡損失額、建物については譲渡利益額。)を繰り延べ、×3年3月10日に残余財産の確定をした後、×3年3月20日に残余財産の分配及び清算結了をする場合について。


この繰り延べた譲渡利益額又は譲渡損失額については、譲渡法人が譲渡損益調整資産の譲受法人との間に「完全支配関係を有しないこととなったとき」を残余財産の確定の日の翌日(×3年3月11日)とし、その繰り延べた譲渡利益額又は譲渡損失額を当社の最後事業年度(×2年4月1日〜×3年3月11日)に益金の額又は損金の額に算入。


【参考】

清算中の法人の残余財産が事業年度の中途において確定した場合には、当該事業年度開始の日から残余財産の確定の日までが事業年度(以下「最後事業年度」といいます。)となりますが(法141五)、清算中の法人において、この「完全支配関係を有しないこととなつたとき」を残余財産の分配が行われた日と解した場合には、当該残余財産の分配が行われた日は当該清算中の法人の最後事業年度が終了した後の日であるため、当該譲渡利益額又は譲渡損失額を精算する機会が永久に失われることとなり不合理であると考えられます。

 したがって、「完全支配関係を有しないこととなつたとき」を残余財産の確定の日の翌日と解することで、繰り延べた譲渡利益額又は譲渡損失額を貴社の最後事業年度に精算することが相当であると考えられます。



【照会要旨】

 当社(3月決算法人)は、清算中の内国法人であり、×3年3月10日に残余財産の確定をした後、×3年3月20日に残余財産の分配及び清算結了をする予定です。

 当社は、×1年2月1日に、保有していた譲渡損益調整資産に該当する土地及び建物をA社に譲渡しましたが、当社とA社との間には法人税法第2条第12号の7の6に規定する完全支配関係があることから、その譲渡により生じた譲渡損益(土地については譲渡損失額、建物については譲渡利益額。)を繰り延べています。

 このような場合、当社の残余財産の分配及び清算結了を行う日(×3年3月20日)の属する事業年度は存在しないため、当社は、当該残余財産の確定の日の翌日(×3年3月11日)にA社との間における完全支配関係を有しなくなったものとして、×3年3月11日の前日である×3年3月10日の属する事業年度の所得金額の計算において、その繰り延べた譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する額を益金の額又は損金の額に算入することとなりますか。


【回答要旨】

 照会意見のとおりとなります。


(理由)


 内国法人が譲渡損益調整資産を当該内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人に譲渡した場合(以下、その譲渡をした内国法人を「譲渡法人」といいます。)には、当該譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額はその譲渡した事業年度の損金の額又は益金の額に算入することとされています(法61の111)。

 この繰り延べた譲渡利益額又は譲渡損失額については、譲渡法人が譲渡損益調整資産の譲受法人との間に「完全支配関係を有しないこととなつたとき」は、当該譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額を譲渡法人の当該完全支配関係を有しないこととなった日の前日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入することとされています(法61の113)。

 ところで、清算中の法人の残余財産が事業年度の中途において確定した場合には、当該事業年度開始の日から残余財産の確定の日までが事業年度(以下「最後事業年度」といいます。)となりますが(法141五)、清算中の法人において、この「完全支配関係を有しないこととなつたとき」を残余財産の分配が行われた日と解した場合には、当該残余財産の分配が行われた日は当該清算中の法人の最後事業年度が終了した後の日であるため、当該譲渡利益額又は譲渡損失額を精算する機会が永久に失われることとなり不合理であると考えられます。

 したがって、「完全支配関係を有しないこととなつたとき」を残余財産の確定の日の翌日と解することで、繰り延べた譲渡利益額又は譲渡損失額を貴社の最後事業年度に精算することが相当であると考えられます。


国税庁ホームページ質疑応答事例法人税

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/04/17.htm

法人税法 質疑応答事例【その他損益】【公益法人等が普通法人に移行する場合の法人税の取扱い(累積所得金額の計算における負債の帳簿価額)】

【結論】一般社団法人甲協会は、一般社団法人のうち一定の要件に該当する「非営利型法人」であり、法人税法上の公益法人等に該当していましたが、理事の交代により非営利型法人の要件を満たさなくなることから、全所得課税される一般社団法人になる見込みです。

貸借対照表に退職給付引当金といった税務上損金算入が認められていない引当金が計上されている場合、累積所得金額の計算上、負債の帳簿価額には退職給付引当金などの税務上引当てが認められていない引当金は含まれないこととなる。


[累積所得金額の計算]

  累積所得金額 = 資産の帳簿価額 - (負債の帳簿価額 + 利益積立金額)

※税務上の帳簿価額に基づいて計算する。


【参考】

(理由)


1 公益法人等が普通法人に該当することとなった場合には、その該当することとなった日(以下「移行日」といいます。)前の収益事業以外の事業から生じた所得の金額の累積額として計算した金額(累積所得金額)又は移行日前の収益事業以外の事業から生じた欠損金額の累積額として計算した金額(累積欠損金額)に相当する金額は、移行日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入することとされています(法法64の4)。


2 この「累積所得金額」は、移行日における資産の帳簿価額が負債帳簿価額等(負債の帳簿価額と利益積立金額の合計額)を超える場合におけるその超える部分の金額とされ、「累積欠損金額」は、移行日における負債帳簿価額等が資産の帳簿価額を超える場合におけるその超える部分の金額とされ(法令131の4)、資産及び負債のいずれも「税務上の帳簿価額」に基づいて計算することとなります。


3 したがって、累積所得金額の計算上、負債の帳簿価額には、甲協会のように会計上の貸借対照表に計上されている退職給付引当金などの税務上引当てが認められていない引当金は含まれないこととなります。


※ 累積所得金額の計算に当たり、甲協会が公益目的支出計画(移行時の純資産額を基礎として算定した公益目的財産額に相当する金額を公益の目的のために消費していく計画)の実施が完了したことの確認を受けていない法人(整備法第123条第1項に規定する移行法人)である場合には、移行日以後に公益の目的のために支出される修正公益目的財産残額を累積所得金額から控除することとなります(法法64の4、法令131の51三)。




【照会要旨】

 一般社団法人甲協会は、公益法人制度改革3法(注)が平成20年12月1日に施行される前の民法第34条の規定により設立された社団法人であったため、同日以後は特例民法法人に該当した後、整備法の規定に基づく移行の登記をし、一般社団法人へ移行しました。甲協会は、一般社団法人のうち一定の要件に該当する「非営利型法人」であり、法人税法上の公益法人等に該当していましたが、理事の交代により非営利型法人の要件を満たさなくなることから、X年4月1日以後は普通法人として全所得課税される一般社団法人になる見込みです(法法2六、九の二、法令3)。

 ところで、公益法人等である内国法人が普通法人に該当することとなった場合には、過去の収益事業以外の事業から生じた所得の累積額(以下「累積所得金額」といいます。)を次の算式により益金の額に算入しなければならないと聞きました。


[累積所得金額の計算]

  累積所得金額 = 資産の帳簿価額 - (負債の帳簿価額 + 利益積立金額)


 甲協会の会計上の貸借対照表には、例えば退職給付引当金といった税務上損金算入が認められていない引当金が計上されていますが、この累積所得金額の計算における「負債の帳簿価額」には、このような税務上損金算入が認められていない引当金は含まれないと考えて差し支えないでしょうか。


(注) 公益法人制度改革3法とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」及び「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(この質疑応答事例において「整備法」といいます。)」をいいます。


【回答要旨】

 貴見のとおり、取り扱われることとなります。


(理由)


1 公益法人等が普通法人に該当することとなった場合には、その該当することとなった日(以下「移行日」といいます。)前の収益事業以外の事業から生じた所得の金額の累積額として計算した金額(累積所得金額)又は移行日前の収益事業以外の事業から生じた欠損金額の累積額として計算した金額(累積欠損金額)に相当する金額は、移行日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入することとされています(法法64の4)。


2 この「累積所得金額」は、移行日における資産の帳簿価額が負債帳簿価額等(負債の帳簿価額と利益積立金額の合計額)を超える場合におけるその超える部分の金額とされ、「累積欠損金額」は、移行日における負債帳簿価額等が資産の帳簿価額を超える場合におけるその超える部分の金額とされ(法令131の4)、資産及び負債のいずれも「税務上の帳簿価額」に基づいて計算することとなります。


3 したがって、累積所得金額の計算上、負債の帳簿価額には、甲協会のように会計上の貸借対照表に計上されている退職給付引当金などの税務上引当てが認められていない引当金は含まれないこととなります。


※ 累積所得金額の計算に当たり、甲協会が公益目的支出計画(移行時の純資産額を基礎として算定した公益目的財産額に相当する金額を公益の目的のために消費していく計画)の実施が完了したことの確認を受けていない法人(整備法第123条第1項に規定する移行法人)である場合には、移行日以後に公益の目的のために支出される修正公益目的財産残額を累積所得金額から控除することとなります(法法64の4、法令131の51三)。


国税庁ホームページ質疑応答事例法人税

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/26/06.htm